日本経済新聞(3月27日)より 鎌倉時代の仏師快慶の作とみられる小型の「木造釈迦涅槃像」。大津市の新知恩院で見つかった 大津市の新知恩院で、鎌倉時代の仏師快慶の作とみられる小型の「木造釈迦涅槃(ねはん)像」(長さ12.8センチ)が見つかり、大津市歴史博物館が1日発表した。井上一稔同志社大教授(仏教美術史)は「あまりに小さく、多くの人が集まって拝むためではなく、僧が個人的に毎日拝むために作らせたのでは」としている。 博物館によると、耳のひだの形や螺髪(らほつ)の配列などに快慶の特徴があった。釈迦の体から発する光を表現するために、目や額に使われることが多い水晶が胸にあるのも珍しいという。 新知恩院は、京都市東山区の知恩院が戦乱を免れるために疎開先となった寺院。知恩院は快慶とつながりが深く、仏像は知恩院から移された可能性が高いという。博物館が2012年4月ごろから調査し、翌13年5月に発見した。 涅槃像は等身大か、その半分の大きさがほとんどで、井上教授は「ここまで小さいものは希少で、日本の仏像史を考える上で貴重」と話した。 |